2009年02月06日

サヨリの口はナゼ赤い?

まず最初に申し述べておきたい事がある。
 コホン、「サヨリは何を隠そう、体育会系の連中なのである」
 それも、ヨッシャー!コイッー!の柔道部のバリバリ現役なのである。
 一見するとスラーッとスマートで口に紅を差してお洒落な女の子なのであるが、シゲシゲと観察すると、彼女達の背鰭はほぼオシリに近い場所にある。
 そう、オシリとはウォシュレットを使用する部分である。
 人間の♀には、八頭身美人ちゅうのがあるそうだが、サヨリは四頭身美人なのである。頭1:上半身2:下半身1の三杯酢みたいな割合なのだ。
 お察しの通り、上半身が異様に発達しているのである。
 ♪アイ、アイ、アイフル~、の清水章吾さんみたいにボディビルのやりすぎで上半身ばかり発達してしまい、バランスがとれていないのだ。
 短い尻尾を振り振りして泳いでも、あないに早く泳げるはずが無い。彼女たちは発達した上半身で胸鰭をフル回転させて推進力にしているハズだ。(見た事ないけどネ)
 「それじゃー、飛び魚はどうなんだ!空中遊泳する、彼らの上半身はもっと発達しているのか!エッ、どないやねん!?」ちゅうて突っ込むシトは飴チャンあげるからあっちへ行っといてネ。
 エ~ット、そう、サヨリはバリバリの体育会系なのである。

 先月、我が家で9時間の大宴会をやったあくる日、ぎょうさんサヨリを釣って帰り、捌いていると(サヨリを捌くのは始めてだったのだが)・・・く、臭い!

北原白秋作詞の

サヨリは うすい
サヨリは ほそい
ぎんのうお サヨリ
きらりと ひかれ

つきよの かわに
だれだれ でてる
さざなみ こなみ
ちらりと ひかれ

サヨリの うちは
まみずか しおか
つめたい サヨリ
みずのたま はけよ

サヨリは うすい
サヨリは ほそい
ぎんのうお サヨリ
おねえさまに にてる


 のイメージがあったのでなおさら、あの臭いとのギャップが大きかった。
 辛抱して捌いていると、気分が悪くなってきて、結局晩御飯を食べんと寝てしまったのではあるが・・・ハハ。
 二日酔いかとも思ったが、あれはサヨリの臭いのせいやったと思う。

 ハラワタも臭いが、内側の黒い部分。アソコが特に臭い。
 「なんでこんなに黒いんやろ?」
 「ウーン???」
 「あれは、ハラワタとは違うし、血合いともちゃうし・・・肺やなぁ・・・肺が黒いちゅう事は、アレはタバコのヤニかぁ・・・」
 「魚に肺があるカッ!」ちゅうてのシトも都合わるいのでアッチへ行っといてね。
 あとで紙芝居やってあげるから。
 これだけ黒くなるちゅうことは、あの子等みんな、ヘビースモーカーやってんで。
 ウンそれしか無いッ!
 佳サは「歯ブラシでサヨリのアソコ掃除する人もおる」言うてたし、今度掃除する時は、ヤニ取り用の【ザクトライオン】使わなアカンなぁ、アハハ!

 これだけけなしても、サヨリの名誉のために言っておかなければならないのは、これほど腹黒で、臭くて苦労させられても、キレイに下ごしらえすれば、「サヨリは、メッチャ美味い!糸造り、酢〆、昆布〆、塩焼き、天ぷら、椀ネタ、一夜干すべて絶品でございます」ちゅう事実である。

 エッート、サヨリはザクトライオンやった、ちゃう、ヘビースモーカーやったちゅうことが解明されて始めて、例のもう一つの大問題の解決の糸口が見えてきたのである。

 そう、アレです。アレ。

 アッ、その前に、
 サヨリは下唇べろんちょの「いかりや長助」なのか、それとも下顎が発達した「アントニオ猪木」なのか?ちゅう問題があったのであった。
 生態学的には、下顎が発達したものと捉えられているそうだが、ぼくの希望としては、唇に紅を差すイメージから、下唇と考えたい。
 サヨリはあの長い下唇をスプーンのように使い、餌のプランクトンやエビ等をすくいとってベルトコンベアのように口へ送り込み、上唇をパッコン、パッコンと開閉して餌を捕食している。
 でも、あの上唇ですけど、唇ちゅうより、なんか『ペラペラの蓋』やと思いません?

で、もう一つの大問題とは、その『下唇先端の紅』 ハテ?なんで紅を差しているんでしょうか?
そして、本当に怠け者なのか?

サヨリは うすい
サヨリは ほそい
ぎんのうお サヨリ
おしゃれに べにさし


 昔々、サヨリがサンマだった頃、猪さんはサユリストだった。(エッ、サヨリはサンマやったんけー?)
 ある日、猪さんは北大東島でサンマをアミエビで狙っていたのだが、播テン年長組の彼にとってアミエビを鉤に刺すのは一大事であった。ほいで、インターネットで『ハンペンをストローで抜いて餌にしても釣れる』ちゅう情報を手に入れていたので、今日は、かあさんが買ってきてくれた、ハンペンでサンマを狙っていた。釣果は午前中で20匹余りと、そこそこ満足の出来る釣りであった。

 昼飯の弁当を開けると、オカズは夕べの関東だきの残り物であった。ハンペンだった。
 『・・・?!』
 普段は温厚な猪さんも、コレにはブチキレて、ハンペンに向かって「お前なんか大嫌いだぁ~い」とお箸でペシペシすると、その反動でハンペンはピョーンと船縁を飛び越し海中に飛び込んだ。

 たまたま、その時通りがかったサンマAは急ブレーキをかけたのだが、間に合わず、ハンペンに口から突っ込んだ。「アッー!」って思いながら突っ込んだので、◇形のハンペンがトコロテンのように腹に納まったのである。
 霞む意識の中で、「ハ、ハンペンは美味い」って叫んでいたのである。
その叫び声を聞いていた、サンマBの目の前に、タモが入れられ、サンマAはハンペンごと、空中へ去っていったのである。「確か、ハンペンは美味い」って言うてたなぁ・・・。

 海中に飛び込むハンペンを目で追っていた猪さんは海中のハンペンにグサッと突き刺さり、ハグハグしながら失神しかかっているサンマを見て、すかさずそばにあったタモを入れた。

 「・・・コレハコレハ・・・モシカシタラ・・・」
 好奇心旺盛な猪さんは、道糸にハンペンを結び、その下に錘をつけて、放り込む。

 海中のサンマBは「オットー!ハンペンが来たやんけ」
 サンマAが「美味い」ゆうて言いよったけど、アイツみたいに釣られてしもたら、どないもしょーがないさかいに、思い切り突っ込んで抜けてしもたろ、で、大口開けて、全速力で突っ込むと大成功!「メッチャ、美味い」アハハ!
 ほいでも、いつもこんな危なっかしい事ばっかりやっとられへん。もっとエエ手はないかいな?
 そうや!下唇をキュイーンと伸ばしてハンペンに突き刺しとって、上唇でハグハグしたらぎょうさん喰える訳や。それにスルッと抜けやすいさかいに、釣られる心配も無い。
 で、神サンに「下唇を伸ばして下さい」いうてお願いした訳です。
 神サンもここんところ暇やったんで「マア、エエか?」って軽い気持ちでチョイチョイと伸ばしてやった。

 それからですワ、サンマがサヨリに改名して・・・ナマクラになったんは。
 (ホンマはダツ目サヨリ科サヨリ属でっせー)
 なんせ、今までみたいにせーらいと走っりゃかんでも腹いっぱい喰えるさかいに、ほんまナマクラになってしもうた。
 本来、魚は海水をエラに通して酸素を吸収せなあかんねんけど、的形へ来るまでに奄美大島や種子島で一服ばっかりして、なかなか前へ進めへんナマクラのサヨリには、肺がボチボチと形成されてきたのである。(ホンマかいな?)
 その上、未成年やのに、タバコを覚えてしもうて、ほいで肺が真っ黒になってしもた訳である。
スタイルも、もうチョット、スレンダーな美脚やってんけど、ハンペンに突っ込む時の衝撃で、脚が短くなってしもたのである。朱里エイコみたいに脚に保険掛けとったらよかったのに。

 それを見ていて、業を煮やした神サンは、一計を講じた。
 まず、ハンペンより、エビの方が美味いちゅう事を教えらなアカンなぁ。サヨリを集めてエビのフルコースを食わしたろか、シェフは県病のハヤミさんに頼もーっと。
 このエビのフルコースがやけに美味かったらしく、サヨリの偏食は直っていったのである。
 ところが、偏食は直ってもナマクラまでは直らず、なかなか餌を採らない、サヨリはドンドン、エンピツ化していくのであった。

 神サンは困ってしまってワン、ワン、ワ、ワンいうて・・・、泣いとる場合と違ゃいまっせ。
 3分ほど考えた神サンは、
 『ヨッシャー!コレしかない!』

 神サンは『紀文』にギネスブックに載るくらい長いハンペンを特注した。
 それが、出来てきた日にサヨリ全員を集めて、「おまえら、餌喰えへんさかいに、痩せ細ってしもとるやないかい、今日は目の前のハンペンを腹いっぱい喰えや」
 それを聞いたサヨリは涙チョチョぎらせて喜び次々とハンペンにプスッ、プスッと突き刺さっていくのであった。
 サヨリたちが夢中でお食事をしている、ハンペンの向こう側で、神サンは赤ペンキと刷毛を持って端っこから、口バシの先端を赤く塗っていくのであった。

 「ハイ、オシマイ」
 「神サン、ゴチソウになった上に唇に紅まで差してもろて、ありがとうございます」
 「アッ、それ?それは紅とはちゃうでぇ、よう見てんや、それエビやろが」
 「エッ、エビですか?アッ、ホンマや!」
 (アイツら、魚眼なんで、まん前はうまいこと見えないのである)
 それから、サヨリは毎日々々、絶~対に捕まえられへん目の前のエビを追いかけ続けて体育会系の魚になったのである。
 体育会系や言うても国体に出場するレベルでもないサヨリは、今でも柔道場の裏でへたって、缶ピーを一日に10本くらいは吸いよるさかいに、まだ腹は黒いままですねん。
 はよ、禁煙せなアカンなぁ~、こりゃ。
2005/12/14作


★最後まで読んで下さった人は根性あるワー!
パソコンを整理していたら、3年前の文章が出てきたので、人の迷惑省みず、思わず掲載してしまいました~。

ほな

▼今日の作文はよかったよ!▼

だから


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Posted by 水鏡サ at 18:45Comments(6)【由無し言】